RAG(Retrieval-Augmented Generation)ってなに?— はじめてでもスッと分かる超入門

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RAGと聞くと、難しく聞こえますが、簡単に言うと

「まず情報を探してから、その内容をもとにAIが答えを書く」

というやり方です。



AIの思い込みだけに頼らず、手元の資料や社内ナレッジを根拠にできるのがポイントです。
できるかぎり専門用語は最小限にしてお伝えします。

RAGをひとことで

    • 質問が来る → 関連資料を探す見つけた内容をもとにAIが答える
    • 「どこに書いてあったか」を示しやすいので根拠がハッキリ
    • 社内マニュアル・FAQ・議事録など自分たちの資料を活用できる

 

RAGは「AIを学習し直す」わけではありません。あくまで検索して文脈を渡すという発想です。

なぜRAGがあるといいのか?


    • AIは最新の社内事情を知らないことが多い → 手元の資料を参照できると安心
    • 答えの根拠を求められる場面(お客さま対応・監査など)で出典を示せる
    • 間違い(思い込み)をへらせる:資料ベースで答えるから


RAGはどう動くのか?(全体像)


    • ① 準備:よく使う資料をきれいにして小分け
    • ② 検索:質問に合いそうな小分け文書をパッと集める
    • ③ 生成:集めた文をそえてAIが回答を書く(引用つき)
    • ④ 確認:人がサッと見てOKにする/修正を戻す


流れは「準備 → 検索 → 生成 → 確認」。このループを回して精度アップ。

RAGを作る4つの部品

1) 資料の用意(前処理)

    • 長い文書は段落ごとに小分け(「チャンク」と呼ぶことがあります)
    • タイトル・日付・部署などのタグをつけておくと後で便利
    • PDFは改行や表が崩れやすいので、できればWordやテキスト化

2) 探しやすくする仕組み

    • 似た意味の文を見つけやすくするための数値化(「埋め込み」)
    • 検索用の箱に入れておき、上位の候補をサッと取り出せるようにする
    • 必要なら通常のキーワード検索も併用(ハイブリッド)

3) 取り出し役(リトリーバ)

    • 質問に合いそうな小分け文書を上から数件まとめて引っ張る
    • 部署・機密区分・日付などで絞り込みできると安全
    • 並び替えの工夫で的外れを減らす

4) 答えを書く役(生成)

    • 見つかった文を材料にして、AIが分かりやすく回答
    • 「出典リンクを必ず出す」「分からない時は“不明”と答える」などルールを入れる
    • 書き方(箇条書き→短い要約など)を型にして固定

RAG活用でつまずきやすいポイントとコツ


    • 小分けが雑:文の途中で切ると意味が途切れる → 段落や見出し単位で分ける
    • 取り出す数が多すぎ/少なすぎ:ノイズや取りこぼしの原因 → 実測しながら調整
    • 根拠が出ない:回答だけだと不安 → 引用を必須に(出典・ページ等)
    • 権限ミス:見せてはいけない資料が混ざる → タグで絞り込み&ログ


RAGの書き方(プロンプト)のミニ型

# あなたの役割:資料の内容だけで答えてください(推測しない)
# 入力:質問、資料抜粋(タイトル・出典・本文)
# ルール:箇条書き→最後に2行の要約/出典を列挙/不明は「不明」と回答

 

    • 「推測しない」「出典を書く」を先に約束しておく
    • 仕上がりフォーマット(箇条書き→要約)を固定
    • 分からない時のふるまいも決めておく

RAGの活用はまずはここから(小さく試す手順)


    • ① 資料を選ぶ:まずはよく参照する10〜20ファイル
    • ② きれいにする:段落ごとに小分け、タイトル・日付のタグ付け
    • ③ ためしてみる:3〜5個の代表質問で検索→回答→出典確認
    • ④ 改善:小分けの粒度/取り出す数/書き方ルールを調整
    • ⑤ 本番化:権限フィルタとログ(誰が何を見たか)を用意


いきなり全部を入れ替えない。小さく作って、調整しながら修正するのが近道。

RAGに関するよくある質問

Q1. 「学習し直し(微調整)」とRAG、どっちが良い?

    • 最新情報や社内資料を使いたい → RAGが向く
    • 文体のクセや定型パターンを覚えさせたい → 学習し直しが向く
    • 実務は併用が多い(RAG+軽い学習)

Q2. RAGにすれば間違いはゼロ?

    • ゼロではありません。検索の質出典必須の運用でグッと減らす
    • 最後は人の目で確認(重要な回答ほど)

 

AIで生成された文章を必ず自分で確認するようにしましょう。

AIの解答は完璧ではありません。

Q3. PDFの表や図はどうする?

    • 表はCSV化、図はキャプション(説明文)を付けると検索に引っかかりやすい
    • むずかしい所は要点だけ別メモにしておくと便利


まとめ

    • RAGは「探してから書く」方式。根拠を示せて安心
    • コツは小分け・出典・権限の3点セット
    • まずは少数の資料+代表質問で小さく試す

 

次の一歩:よく見る資料を10本集めて小分け→ 代表質問で動かす→ 引用つき回答にする

の順で試してみましょう。

 

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